台湾の街の風景をつくる「騎樓」とは?1級建築士の視点で解説。日本にない理由は?

羊羊です!(@yangyang_xiaoqi)

当たり前ですが台湾の日中は日差が強くとても暑いです。

特に夏に歩いて行動するとすぐ汗だくになります。にも関わらず、台湾の人達はよく外で過ごしているイメージがあります。

その秘密は、チーロウという街中にある「影」の空間にあります。今回はその「影」の空間チーロウについて説明します。

内容

騎樓(チーロウ)とは

台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]
1階部分が騎樓。歩道のように歩くことができます。

台湾の街を歩いていると建物が迫り出しているアーケード状の歩道をよく見かけます。

この歩道空間を中国語で「騎樓」[チーロウ]といいます。

もともとは中国南方から伝わった建築様式なのですが、日本統治時代の台湾で建築する際に必ず作る事が法律で定められ現在では台湾の多くの場所で見る事ができます。

騎樓は上の建物の一部なのですが歩道の様に誰でも通る事ができます。

ただ歩道のように連続しておらず床や高さが一軒毎に違うため歩きにくい場所もあります。特にキャリーケースを引きながらだと段差にひっかかり移動しにくいこともあります。

台湾の街は騎樓でできている

台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]の実際の使われ方様子
騎樓の様子。床は人工大理石やタイル、コンクリート骨材磨き仕上げなど様々

騎樓の半屋外空間が街として続いていることから、影の空間が街の至る所にでき、天気に左右されずに騎樓を通って快適に移動することができます。これが台湾の人たちが暑い季節でも外で行動できる理由です。

台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]の実際の使われ方様子
お店の椅子やテーブルも騎樓に置かれており、お店の一部となっています。
台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]の実際の使われ方様子
お馴染みのセブンイレブンも柱下に座れるスペースを設けています。
台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]の実際の使われ方様子
騎樓とは別に歩道も設けられているエリアもあります。

またお店側も移動式の厨房や、テーブルや商品を騎樓の下まで出すことができ、道ゆく人にアピールすることができます。

日本には馴染みのない空間ですが、感覚としては夏祭りの露店のような感覚です。

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台湾の日々の様子は、ちょこっと移住日記にて発信しています!観光ではない、日常視点の台湾の様子を発信しています。騎樓のおかげで暑い夏の台北の隅々まで行く事ができました。

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日本に騎樓がない理由は、敷地境界線

騎樓は日本の台湾統治時代にできたにもかかわらず、日本には騎樓はありません。

日本に騎樓がない理由は、建築基準法や都市計画法といった街の使い方に関する法律にあります。

街には厳格な公私の境界線が引かれており、お店の看板やテーブルなどを敷地境界線を1mmでもはみ出して歩道に設置する事は法律違法になっています。(一部の地区では緩和されている場所もありますが特殊な事例です。)

法律のおかげで違法な出店や路駐がなく、きれいな街が保たれているのですが、台湾の街の賑やかさを体感すると、もっと街を使い倒しても良いのではないかと感じます。

実は沖縄にある騎樓

日本に騎樓はないと言いましたが、実は羊羊の地元、沖縄に1箇所だけ存在します。

沖縄県宜野湾市普天間にある「グリーンベル商店街」です。

写真を見ると一瞬、台湾の街のようにも見えます。

日本の沖縄県宜野湾市普天間にある台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]と似たような場所の様子
沖縄県宜野湾市普天間にある騎樓

昔は市場があり騎樓のある建物でもいくつかのお店が商売しており、かなり賑わっていたそうです。

現在では市場もなくなり、お店も閉店しており閑散としています。また建物の老朽化もありこの貴重な騎樓がなくなるのも時間の問題だと考えています。

Screenshot

しかし日本の法律のもとでこの騎樓空間を実現できていたことがとても興味深く、これからの街づくりのヒントにもなるのではないのでしょうか?このあたりにはコーヒー屋さんや古着屋さんなど感度の良いお店も増えてきているので、街の特徴を活かした街づくりを進めてほしいです。

騎樓はいつかはなくなってしまう?

台湾の歩道空間「騎樓」[チーロウ]の実際の使われ方様子。違法なバイク駐輪の様子
騎樓に止められたバイク。駐輪場ではありません。

台湾でも騎樓について否定的な意見もあり、新しい建物には騎樓がなくなってきています。

バイクの違法駐車や違法な露店の出現など、また私有地なので維持費もかかる上に、歩道として解放しなければならないなどの理由があります。

しかし建築士である私の考えからすると騎樓こそが台湾の風景を作っており、街の賑わいを増幅させているように思います。利用方法が法律的にグレーなほど利用者側のアイディアを膨らみ試してみようという行動に繋がりやすいのではないでしょうか。最初からだめ!と言われたら、やる気も起きないですよね…

台湾は古いものを利活用するのがとても得意な国です。騎樓は他の地域にはない魅力的な空間なので、これからも残り続けていくことだと思います。

最後までご拝読いただきありがとうございます。

\台湾移住で参考にした本/

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